夕日顔
茶川竜之介
吉岡秀隆
もう、ダラダラ。
垂れ流しです。誰か介護してください。
涙腺の蛇口が外れました。
「ALWAYS 三丁目の夕日」2時間13分の上映時間中
2時間以上ワタシの眼球はほぼ潤みっぱなし。
いずれ劣らぬはまり役の役者たちの演技もすばらしいけど、
登場人物の背景に映るセットや小道具、美術、CG合成、
スクリーンに映りこんだあらゆるモノが圧倒的な迫力で胸を打つ。
昭和。画面いっぱいにあふれる昭和。
とぎれることのない昭和に、コッチはとめどもなくウルウル。
でも、もし同じ昭和33年の東京の町並みを
ドキュメントした総天然色のフィルムが保存されてたとしよう。
それを見ても、ワタシはこんなに感動しないだろう。
「作り物の昭和」
だからこそこみ上げてくるのだ。
製作スタッフがどれだけ莫大な時間と労力を使って
この昭和の空気を作り上げたか、体温やニオイまで感じる
映像の底にはきっと想像を絶する努力がある。
その映像に対する深い愛情と心意気が
自然と胸をゆさぶるんだと思う。
見たことのない未来SFの世界は見たことあるんだけど
見たことのある世界をここまで再現した映像は見たことがない。
★
劇中で、少年たちが21世紀の未来世界を空想するシーンがある。
そこでこの映画のVFXスタッフは見事なSF的未来都市の風景を
実にさらりと描き出してみせる。
そのさりげない演出ぶりは、心憎いくらいだ。
まるで、目にも留まらぬ居合い抜きで
目の前を飛んでいたハエをなにげなく真っ二つにしてみせる
剣豪のデモンストレーションのようだ。
「すごいだろ。だけど、それよりすごいCG技術を使って
昭和を再現してるんだぜ、驚いたか」と言わんばかり。
山崎貴監督はVFXのスペシャリストだそうだから
こちらが「ぬぬ、おぬし、デキルな」と思ったとしても外れてはいないだろう。
昭和のプロジェクトXオヤジたちが
高い技術力を武器に世界を相手にしたように
日本の映画だって技術力で勝負ができるのだ!
イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏