どろろ顔
柴崎コウ
映画「どろろ」が全国で封切られた(1/27)
意外だと思うかもしれないけれど、
この映画の絵コンテを描いたのはワタシ。
おととしの夏の終わりから冬の初めの頃まで
塩田明彦監督の隣に座って、
妖怪を相手に、縦横無尽に立ち回る百鬼丸とどろろを
それこそ何百枚と絵にした。
VFX監督やアクション監督、助監督などの
いい年をした大人の男たちが
旅館の和室に缶詰になって、
目に見えない妖怪をあれこれ想像して
戦うポーズをとったり、人形どうしを対決させたり
まるでゴッコ遊びをする修学旅行の小学生たちみたいだった。
それを参考にして構図を決め、カット割りした絵を描くんだけど
めちゃめちゃ楽しい仕事だったなあ。
ただ、まったく女っけのない現場だったので、
潤いとか華やかさというものが欠けていた。
そんなもんで「どろろ」に扮する柴崎コウさんを
絵に描くのが、ワタシとしては唯一の潤いだったかな。
どんな風に演じるんだろうと、勝手に想像して楽しんでいた。
手塚治虫大先生の原作では
「どろろ」のみかけは10歳くらいの少年。
年かさの百鬼丸とまるで兄弟のようだった。
血がつながっていない孤児どうしが
冒険の中で助け合い、本当の兄弟のようになっていく。
それに対して、映画版「どろろ」は男と女の友情を描くことになる。
原作を熱狂的に好きだった世代としては
どうしても違和感が残る。
ところが、完成した映画を観て、想像以上に
柴崎サンのどろろがはまっていたので、びっくりした。
男女の友情物語なんて、ありそうでなかなかない分野だけど
それがちゃんと成立していたのだ。
それは柴崎サンの持つ資質によるところが大きいかも。
美人なんだけど、どこか男っぽいんだよね。
映画では、妖怪が爆発してどばっと
返り血を浴びるシーンが何度も出て来る。
グロテスクなのに笑ってしまうのは、
柴崎コウさんの男気キャラクターならでは。
だけど、もともとポンズダブルホワイトの化粧品CM出身の
女優さんを何度も血まみれにするなんてヒドイよね。
すみません。絵コンテを描いているうちに、
監督やスタッフと面白がって、何度も繰り返すと
ギャグになると、アイデア出してしまいました。
でも嫌がらず、面白がってやってくれたようで、
その女優魂はさすが。その「男気」に感謝!
イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏