道場破り顔
森下滋
ジャズピアニスト
世界で最も歴史と権威がある
米・モントレー・ジャズ・フェスティバル50周年に
日本代表として参加し、
耳の肥えた本場のジャズファンたちを
熱狂させたクインテットの凱旋公演が
新宿ピットインで行われた(4/20)
森下滋(ピアノ)
田中邦和(サックス)
片岡雄三(トロンボーン)
高瀬裕(ウッドベース)
江藤良人(ドラム)
海を渡ってメジャーの
道場破りをしてきた
オールジャパンの演奏とは
どんなもんかと思って
聴きに行ってきたんだけど、
ぶったまげた。
まるでフォーミュラーエンジンを
搭載したようなバンドだった。
加速Gでイスの背もたれに体が飛んだ。
とんでもない車に乗ってドライブが始まった。
窓から見える景色が、これまで経験した
どんな演奏とも違う。
圧倒的なパワーだけど、
乗り心地はベンツみたい。
減速なしでコーナーに突っ込んでいくんだけど、
一滴の水もこぼすことなく
どんなカーブもすり抜けながら
ビュンビュン飛ばしていく爽快感。
精密機械のような確実さで
無限大に加速する。
これだったら、本場ジャズファンが
熱狂したのもうなずける。
無名の東洋人バンドの演奏だったのに
あっというまに会場に聴衆があふれ、
最後は600人がスタンディング・オベーションで
讃えたという実力は本物だと思った。
★
ところが、なんとこのバンド、
まだ一枚のCDも作ってないそうな。
メンバーそれぞれが売れっ子で
あちこちのセッションに参加していて
なかなか勢ぞろいできないとか。
う〜ん、もったいない。
イチローや松坂が率いて世界一になった
WBCの日本代表チーム
みたいなもんなのかなあ。
次はいつ、このチームが再結集するんだろう。
イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏