第九顔
小林研一郎
日本フィル音楽監督
日本フィルの年末恒例「第九」演奏会を聴きに行ってきたよ(12/23)。
今年は東京芸大の学生たちが、初めて合唱団として
日本フィルの舞台に立つ演奏会だった。
今までで聴いた第九演奏会の中で、いっちゃん若い「合唱」だったんだけど
いっちゃん迫力があって感動的な「合唱」だった。
めちゃめちゃ良かった。オジサン、おもわず胸が熱くなって感涙したよ。
若い彼らの歌声は、まるで堤防を乗り越えあふれ出す奔流のようで、
圧倒的な勢いと力強さがあって、純粋だった。
それでもさすがに初めのウチは、大舞台になれていない学生たちが、
無理して大人っぽい落ち着いた歌声を出そうとして窮屈そうにも感じたんだけれど、
さすが「炎のコバケン」。
もっと声を出せ、もっと高らかに謳えと、どんどん煽るもんで、
若くて元気な奔流が勢いをまして、ついには洪水となってホール全体を飲み込んだ。
彼らの「合唱」は、たとえば気品のある名馬ではなく、
若くて勢いだけの暴れ馬だったのかもしれないけれど、
駿馬が駆け抜ける爽快感と熱さを観客にくれた。
演奏終了後、それは爆発するような大喝采となった。
ホールは興奮がなかなか収まらず、熱狂的な拍手が延々と続いた。
コバケンが感謝の挨拶を述べて、やっと演奏会が終わり、
ソリスト、オーケストラがはけたあとだった。
退場の順番を待って舞台の上にいた学生合唱団に
去りがたく会場に残っていた観客から再び、大きな拍手が起こった。
もちろん、ワタシも拍手したよ。
学生たちは誇らしそうだったな。胸を張ってひとりひとり舞台袖に消えていった。
拍手でそれを見送った観客のほとんどは、彼らよりずっと年上だったと思う。
きっと、日本の将来が明るいものに思えたことに感謝したかったんじゃないかなあ。
そりゃ大げさか。でも、少なくともワタシは手を合わせる気になった。
↓
↓
↓
↓
来年もいい年になりますように。
合唱、いや
合掌。
イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏