オッサン顔
ドック・オク
(スパイダーマン2)
公開中の「スパイダーマン2」を観に行って来たよ。
正義のヒーローも、いろいろと事情があって大変なんだよ。
ヒーローと学生という2足のわらじをはいてるから
生活苦は続き、失職して家賃は滞納。
CG技術もアクション演出も前作に比べてかなりグレードアップしていて
迫力満点の映像だったけど
かなり念入りに、そのしょぼい状況が描かれる。
かつてここまで庶民的なヒーロー映画があったかね。
ほんで今回のこの悪役、ロボットアームと合体し、
人間重機と化した科学者がまた
泥臭いただのオッサンなんだよねえ。
悪のマッド・サイエンティストっていうと
なんだかインテリ風なイメージが漂うけど、
このオッサンの場合、パワーショベルで銀行のATMを破壊する
悪の現場監督って感じだ。
泥臭いなあ。庶民感だなあ。
でも、サム・ライミ監督はこのテイストを
一番大事にしてるんじゃないかな。
正義のヒーローも悪モノも、しょせん人間がやってるんだ。
しょぼくて、庶民なのだってかんじ。
そうそう、ヒロインの女の子も
女優という役柄のくせに、しょぼいよね。
ぜんぜん美人じゃないんだもん。
狙いだなあ。
それからこの映画は、マスコミを徹底的におバカに描いている。
真実を伝えないで部数を伸ばすセンセーショナルな
記事を捏造することにひたすら熱心な新聞社の編集長がその代表。
それとは対照的に、ごくごく脇役である庶民や一般大衆が
実に賢くて、優しくて、良き市民として繰り返し描かれてるのよ。
スパイダーマンの行動を誤解せずにちゃんと理解している。
通行人や、電車に乗り合わせた一般乗客たちまでもが、
そういう風に細かく人物設定され、血が通ったキャラクターとして
丁寧に演出されているもんで
この映画に奥行きとふくらみをうんと与えている。
うーん、こんな風に名も無き庶民や役柄を
大切に扱う監督は好きだなあ。
たとえ役名のないエキストラ役でも、この映画に出た人は
きっと誇りを持つだろうなあ。
金持ちやインテリを信じず、名もなき庶民が賢いのだ。
映画批評家の論評より
映画館に実際に足を運ぶ観客のほうを信じるもんね。
サム・ライミ監督はきっとそんな人だろうな。
イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏